今年は例年よりも一週間ほど早い夏休みとなったが、関東地方の梅雨明けも早く快適な夏山登山への期待があった。
ところがいざ蓋を開けてみると、東北地方に停滞する前線の影響で不安定な天気が続くとの予報。
これで東北方面の山は早々と候補から消え、上信越の山と八ヶ岳の2ヶ所に絞込む事となったのである。
車でのアクセスその他諸々を考慮した結果、結局は上信越地方未踏の百名山を登る事に決定。
当初は苗場山~巻機山~草津白根山の3座を候補に挙げたが、天気が思わしくないとの理由で巻機山を計画から外す。
結局は苗場山をメインに草津白根山~浅間山(黒斑山)の3座を今年の夏休み山として実行に移した。
7月21日(日)早朝、新潟県湯沢町にある苗場山の登山口を目指し約190Kmのロングドライブがスタート。
途中の足尾~沼田間の山道で遭遇した鹿は2頭、ライトに照らされて暗闇に浮かぶ瞳がギラリと光っていた。
湯沢町に入りR17から細い山道を奥へ奥へと約10Km、かぐらスキー場第2リフト町営駐車場に6時頃に到着。
駐車場から約1~2Km手前の林道では道路に飛び出た体長1m弱の小熊を目撃。
この山域が熊の生息域である事を改めて肝に銘じ登山口を出発した。
【苗場山祓川コース】
かぐらスキー場第2リフトP~和田小屋~神楽ヶ峰~苗場山のピストン。
山と高原地図(旺文社)のCTでは約7時間30分となっていて休憩を含めると8~9時間のコース。
尚、登山口の駐車場(トイレ有り)は午前6時で7割が埋まっていたが、山小屋泊も含まれての事であろう。
最初はスキー場ゲレンデ脇の道路を歩く事約20分で和田小屋に到着。
この先からが本格的な登山道となります。
駐車場にあった車の数の割には登山者が少なく思える静かなコース。
樹林帯に入る前に和田小屋方面を振り返る。
朝のうちは曇り空で今ひとつ気分が乗らず、登山道脇に咲く花の写真も撮らずに黙々と歩いていた。
余りの蒸し暑さに汗が吹き出たがタオルをザックに入れるのを忘れてしまった。
今回は完璧だと思ったのに・・・やはり痴呆が進んできたか(^_^;)
単調な樹林帯を抜けると漸く視界が広がってきた。
小さな湿原のある下ノ芝には木製のベンチが設置され休憩ポイントとなっている。
誰かが言っていたが、確かに会津駒ヶ岳の雰囲気にも似ているね。
その後再び樹林帯に入り黙々と歩く。
いつしか明るい日差しに気付いて空を見上げると青空が・・・!
これは予報以上に良い天気となりそうな気配。
こうなると気分もハイテンション、花々を撮影する余裕が出てくる。
周辺の景色も一変し、広大な草原の一部が目の前に見られるようになってきた。
草原にはニッコウキスゲ、キンコウカ、ワタスゲなどが見頃を迎えていました。
更に歩を進めると開放的な雰囲気の中ノ芝に到着。
展望も良好で湿原やお花畑が広がる前半のハイライト。
更に高度を稼いでいくと花は少ないが、同じように開放的な草原が広がる上ノ芝へ。
江戸時代後期の文人鈴木牧之の顕彰碑を過ぎると右手に小松原湿原への分岐。
そこを通り過ぎ登っていくと、どんどん展望が広がっていく。
すると突然、大岩を乗り越えてきた登山者が眼前にニョッキリと出現?!
このコース上、数少ない岩場の股スリ岩であった。
本当に股を擦るほどの岩であるかどうかは定かでない(笑)
花撮りも続けましょう。
ミツバオウレンやツマトリソウ・・・。
1番多く咲いていたゴゼンタチバナは今回はパス・・・ゴメンネ。
やがて神楽ヶ峰(写真撮り忘れ)のピークを超えて一旦は大きく下ります。
苗場山との鞍部に差し掛かると、どっしりと構えた苗場山山頂部が眼前に迫る。
ゆったりとした女性的な山容であるが、山頂直下は意外と急斜面。
登り返しを迎える前に雷清水で喉を潤したが、冷たくて美味しい湧き水であった。
ここから山頂までは50分とあります。
鞍部に広がるお花畑にはニッコウキスゲなどの群落が見頃を迎えて素晴らしい。
他にも沢山の花が咲いたが、ここに紹介するのはその中のほんの一部。
ハクサンフウロ。
ミヤマシャジン。
これはヒメコゴメグサでいいのかな?
キオン。
ヤマブキショウマ?
他にはミヤマウツボグサ、クルマユリ、ミヤマシシウド、モミジカラマツ・・・etc。
山頂直下の急登は流石にきつく、思ったように足が上がらず休憩しながらゆっくりと着実に歩を進める。
最後の急坂を登りきると突然視界が広がり山頂部一角の草原に飛び出た。
これまでの疲れも吹き飛ぶ雲上の楽園についに到達~♪
小躍りしたいくらいの開放感。
山頂部からの展望は谷川連峰や赤城山、浅間山など。
湿原にはコバイケイソウの他には思ったほど目立つ花はありませんでした。
確認できたのはワタスゲ、タテヤマリンドウ、ヒメシャクナゲ、ピーク過ぎのチングルマ、イワイチョウ・・・
そんなところでしょうか?
それでも、この美しく広大な自然の風景を眺めるだけでも十分満足。
木道脇の休憩所では腰を下ろしてランチ中の登山者多数。
苗場山山頂(2145m)での記念写真を居合わせた登山者に撮ってもらう。
苗場山自然体験交流センター(山頂ヒュッテ)。
暫し湿原散策を堪能した後に木道脇でランチタイム。
休憩後に山頂から赤湯方面へ向かい奥に広がる湿原へと足を延ばす。
間もなく通り雨に見舞われ慌てて引き返す事となった。
お陰で撮り逃してしまったが、この一帯の湿原はチングルマの群生が見事である。
下山は来た道を戻るだけであるが、目線を変えるとその風景もまた新鮮。
神楽ヶ峰に戻って来た頃には再び青空となりました。
実に清々しい高原の碧い空・・・
天候への不安が爽やかな風に乗り一気に吹き飛んで行った瞬間です。
下山後は湯沢町の健康ランド温泉にて日帰り入浴。
R292を経て長野県山ノ内町の「道の駅北信州やまのうち」にて車中泊。
美しい夕暮れの空に明日の晴天を信じて就寝。
【苗場山】日本百名山、花の百名山
新潟県南部、長野県北東部の県境に位置する標高2,145mの火山。
山頂に広大な高層湿原を持ち、夏期には多くの高山植物が咲く。
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