二人には北海道への共通した強い憧憬があった。


『あの広い大地に立ち、遥かなる地平線を見てみたい』


1976年当時カバチとオロシ(リンゴ)は夏休みに北海道行きを計画した。


上野駅から寝台急行で青森駅、青森港から青函連絡船で函館港へと渡った。


計画では何かの青春冒険活劇よろしく、ヒッチハイクでの北海道一周、又は出来るだけ遠くへ。


その思惑は北海道上陸後あっけなく崩れた。


若い女性なら兎も角、野郎二人を乗せてくれる奇特な方はそうは居ない。


とりあえず少ない予算の中から函館本線での北上を目指した。


長万部駅に降り立ち再度ヒッチハイクを試みるが思い通りには成らず。


予定を変更して函館駅に戻った二人は、今度は江差線での北上を目指した。


駅名は忘れたがある町に降り立ちヒッチハイク。


ここで北海道上陸後初めて成功し、軽トラで江差町まで乗せてもらう。


しかし、ここからは苦難の連続。


その日は歩いて辿り着いた倉庫の庇下での野宿を余儀なくされた。


天の川まで綺麗に見える星空が印象的でした。


その美しさが却って望郷の念を強くし、早くもホームシックに陥った。


暗く静寂に包まれたその場所からは遠く波音だけが聞こえた。


若かったとはいえ安易な計画を反省し、来るべきリベンジを誓い北海道を後にした。


そして翌年、この時のリベンジを果たす為に自転車での日本一周を実行する事になった。


 


 


 


 


※先日、日本一周サイクリング中に出逢ったある方からのコメントがあった。


当時小学生だった彼も今や40歳代。


偶然にもこのブログを知り、30数年も前の事を覚えていて書き込んで下さった。


それを目にした時は驚きと感激で思わず声を上げた。



 


その思いも寄らぬ出来事に感動し、日本一周を計画するきっかけを思い出した。